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オフィス移転費用の相場は?内訳・坪単価と4分類でわかる総額の目安

オフィス移転が決まったものの、「結局いくらかかるのか総額が読めない」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。内装工事や引越しの見積もりは取りやすい一方で、原状回復費や敷金、廃棄費用といった見えにくい出費を見落としたまま稟議を進めてしまい、後から予算が膨らむケースは少なくありません。

費用項目は多岐にわたり、自分で一つひとつ洗い出して資料にまとめるのは大きな負担です。この記事では、まず「坪単価×坪数」で総額の目安を即座に出せる簡易計算式を示し、続いて費用を4つに分類して全体像を整理します。さらに30坪・50坪など規模別のシミュレーション、コストを抑える方法、会計処理までを順に解説します。読み終えるころには、自社の概算と予算化の見通しが立っているはずです。

オフィス移転費用の総額相場と坪単価の目安

まずは総額の目安をつかむところから始めます。ここでは坪あたりの相場、1人あたりの費用感、そして自社の概算をすぐ出せる計算式の3点を押さえます。

1坪あたり約20〜40万円が総額の目安

オフィス移転にかかる費用は、原状回復から新オフィスの内装、引越しまでをすべて含めると、おおむね1坪あたり20〜40万円が目安になります。たとえば50坪のオフィスなら、総額で1,000万〜2,000万円という幅になります。

幅が大きいのは、内装のグレードや原状回復の範囲、ビルのグレードによって金額が大きく変わるためです。間仕切りのない開放的なレイアウトにするか、会議室や役員室を造作するかでも工事費は変わります。まずはこの20〜40万円という範囲を頭に置き、自社がどのあたりに位置するかを後述の項目別レンジで詰めていく流れがおすすめです。

1人あたりの費用相場(規模・人数別の早見表)

坪数ではなく従業員数から概算したい場合は、1人あたりの費用で見る方法もあります。一般的なオフィスでは1人あたり3〜4坪を確保するため、坪単価から逆算すると1人あたりおおむね60万〜150万円が目安です。

規模・人数想定坪数総額の目安
5人(スタートアップ)15〜20坪300万〜800万円
10人30坪前後600万〜1,200万円
20人50坪前後1,000万〜2,000万円
50人120〜150坪2,500万〜5,000万円

あくまで目安ですが、稟議の初期段階で「だいたいこの規模感」と当たりをつけるには十分役立ちます。人数が増えるほど1人あたり単価は下がる傾向があり、共用部の比率が下がるためです。

「坪単価×坪数」で自社概算を出す簡易計算式

自社の総額をすぐ出したいときは、次のシンプルな式が便利です。

総額の目安 = 新オフィスの坪数 × 坪単価(20〜40万円)

たとえば新オフィスが40坪なら、40坪 × 20〜40万円 = 800万〜1,600万円が概算です。低めに見積もりたいなら25万円、内装にこだわるなら35万円というように、自社の方針に合わせて単価を調整します。

この式はあくまで全体像をつかむためのものです。実際には旧オフィスの原状回復費や敷金が別途のしかかるため、次章の4分類で抜け漏れを防ぎながら精度を上げていきましょう。

オフィス移転費用は4分類で整理する

費用項目が多くて何から手をつければいいか分からない、という不安は、全体を4つに分けて考えると一気に解消されます。ここでは退去・取得・内装・引越しの4分類を順に見ていきます。

①旧オフィス退去費用(原状回復・廃棄)

意外と見落とされがちなのが、今のオフィスを出ていくためにかかる費用です。代表的なのが原状回復費で、入居時の状態に戻すための工事費用を指します。賃貸借契約では借主負担とされているのが一般的です。

あわせて、不要になった什器や書類の廃棄費用も発生します。デスクや椅子、キャビネットの処分には1点ごとに費用がかかり、量がまとまると数十万円規模になることもあります。退去費用は「新オフィスにお金をかけたい」という気持ちの裏で軽視されやすいので、最初に見積もりを取っておくと安心です。

②新オフィス取得費用(敷金・礼金・仲介手数料)

新しいオフィスを借りる際の初期費用も大きな塊です。オフィス賃貸では敷金(保証金)が賃料の6〜12カ月分と高額になることが多く、ここが資金繰りの最初の山になります。

このほか、礼金(賃料の1〜2カ月分)、仲介手数料(賃料の1カ月分程度)、入居月の前家賃などが加わります。月額賃料50万円のオフィスで敷金10カ月なら、敷金だけで500万円。取得費用は契約条件によって大きく動くため、物件選びの段階で敷金の月数を必ず確認しておきましょう。

③新オフィスの内装・設備・ネットワーク費用

移転費用の中で最も金額が膨らみやすいのが、新オフィスを使える状態に仕上げる費用です。内装工事、間仕切りや会議室の造作、電気・空調の設備工事、LAN配線や電話・インターネットといったネットワーク構築までが含まれます。

何もないスケルトン状態の物件では、これらをゼロから作るため坪単価が高くなりがちです。一方、前のテナントの内装が残った居抜き物件を選べば、間仕切りや配線をそのまま活用でき、この項目を大きく圧縮できます。後半で詳しく触れますが、内装費は工夫しだいで最も削減効果が出る部分です。

④引越し・諸経費

最後が、実際の引越しとそれに付随する諸費用です。引越し業者への支払いは1人あたり3万〜5万円が目安で、什器の運搬量や階数、作業時間帯によって変動します。

これに加えて、住所変更にともなう名刺・封筒・パンフレットの作り直し、Webサイトや登記の住所変更、案内状の送付費用なども発生します。一つひとつは小さくても積み重なると無視できない金額になるため、移転チェックリストを作って漏れなく拾っておくと、後からの追加出費を防げます。

項目別の坪単価レンジ一覧

4分類で全体像をつかんだら、次は各項目の坪単価レンジで精度を高めます。ここでは工事系・什器系の相場と、特に見落としやすい大型出費を整理します。

内装・設備・原状回復・ネットワークの坪単価

工事系の費用は坪単価で把握すると見積もりの妥当性を判断しやすくなります。代表的な項目の目安は次のとおりです。

項目坪単価の目安
内装工事(一般的なグレード)10万〜30万円
電気・空調などの設備工事5万〜15万円
LAN・電話などネットワーク工事2万〜5万円
原状回復工事3万〜10万円(大規模ビルは高め)

原状回復は、小〜中規模ビルで坪3万〜5万円、大規模ビルやグレードの高いビルでは坪5万〜10万円以上になることもあります。契約書に原状回復の範囲が明記されているので、退去前に必ず確認しておきましょう。

什器・廃棄・引越しの費用目安

工事以外の費用も押さえておきます。デスク・椅子・収納などのオフィス家具(什器)は、新品でそろえると1人あたり10万〜30万円が目安です。

廃棄費用は什器の量で決まり、デスク1台あたり数千円〜、まとまった量だと数十万円規模になります。引越し費用は前述のとおり1人あたり3万〜5万円。これらは相見積もりで差が出やすい項目なので、複数社から見積もりを取るだけで数十万円単位の節約につながることもあります。

見落としやすい敷金・原状回復という大型出費

ここで改めて強調したいのが、敷金と原状回復という2つの大型出費です。どちらも「工事費」や「引越し費」ほど意識に上りにくい一方で、金額のインパクトは非常に大きく、予算オーバーの主因になりがちです。

敷金は新オフィスで賃料の6〜12カ月分、原状回復は旧オフィスで坪数×坪単価。この2つが移転の前後で同時にのしかかるため、初期キャッシュアウトのピークを作ります。見積もりを集める段階で、この2項目を最初にリスト化しておくと、後から「こんなにかかるとは」という事態を避けられます。

規模・人数別の費用シミュレーション例

ここからは自社の規模に当てはめやすいよう、具体的なシミュレーションを示します。30坪・50坪・小規模の3パターンで、内訳のイメージをつかんでください。

30坪・10人規模のオフィス移転費用

30坪・10人規模で、月額賃料を40万円(敷金8カ月)と仮定した場合の概算は次のとおりです。

項目概算
原状回復・廃棄(旧オフィス)120万〜250万円
敷金・礼金・仲介手数料(新オフィス)360万〜450万円
内装・設備・ネットワーク300万〜600万円
什器・引越し・諸経費120万〜250万円
総額の目安約900万〜1,500万円

内装をどこまで作り込むかで上下しますが、スケルトン物件をフルで内装する場合は上限に近づきます。

50坪・20人規模のオフィス移転費用

50坪・20人規模で、月額賃料60万円(敷金10カ月)と仮定すると、おおよその概算は次のようになります。

項目概算
原状回復・廃棄(旧オフィス)200万〜450万円
敷金・礼金・仲介手数料(新オフィス)660万〜780万円
内装・設備・ネットワーク500万〜1,000万円
什器・引越し・諸経費200万〜400万円
総額の目安約1,500万〜2,600万円

この規模になると、内装と敷金の2項目だけで総額の6割前後を占めます。逆に言えば、この2つを抑える工夫が総額に直結します。

スタートアップ・小規模オフィスの費用感

5〜10人のスタートアップや小規模オフィスでは、総額300万〜800万円程度に収まるケースが多くなります。坪数が小さいぶん工事費の絶対額は抑えられますが、1人あたりの単価はむしろ高くなりがちです。

初めての移転で「これだけの金額を一度に動かすのは不安」と感じるのは当然です。多くの企業が同じ不安からスタートしています。小規模なら、内装が残った物件を選んだり、什器を流用したりするだけで総額を大きく圧縮できるため、まずは削減余地の大きい項目から検討するのが現実的です。

オフィス移転費用を抑える方法

総額の見通しが立ったら、次はいかにムダを削るかです。ここでは内装・原状回復を中心に、実務で効果の高い削減策を紹介します。

居抜きオフィスの活用で内装・原状回復・廃棄費を圧縮

削減策として最も効果が大きいのが、居抜きオフィスの活用です。前のテナントが使っていた内装・間仕切り・会議室・配線がそのまま残っているため、ゼロから作るスケルトン物件に比べて内装工事費を大幅に抑えられます。

什器や照明、ネットワーク設備が残っていれば、購入や工事の費用もまとめて圧縮できます。東京の居抜きオフィスに特化したReOffice(リオフィス)のような物件検索サイトを使えば、内装が残った物件を効率よく探せます。「内装にかける予算をできるだけ抑えたい」という場合は、まず居抜き物件から候補を絞るのが近道です。

「居抜き退去」で原状回復費を引き継ぐ

退去側にも削減の余地があります。それが居抜き退去です。次のテナントが今の内装をそのまま引き継いでくれる場合、本来かかるはずの原状回復工事を省ける、あるいは大幅に軽減できる可能性があります。

前章で触れたとおり、原状回復は見落とされやすい大型出費です。これを引き継ぐ形で退去できれば、数百万円単位の負担を回避できることもあります。貸主の承諾が前提になるため、契約条件の確認は必要ですが、検討する価値は十分にあります。

什器の流用・リユース・相見積もり・補助金の活用

そのほか、すぐに取り組める削減策を整理します。

  • 什器の流用:今のデスクや椅子を持ち込めば、新規購入費をまるごと節約できます。
  • リユース家具の活用:中古オフィス家具なら新品の3〜5割の価格でそろえられます。
  • 相見積もり:内装・引越し・廃棄はいずれも複数社の比較で価格差が出やすい項目です。
  • 補助金・助成金:自治体や国の制度で、移転やテレワーク環境整備が対象になる場合があります。

面倒に感じるかもしれませんが、相見積もりは数社にメールを送るだけでも始められます。一手間で数十万円が変わると考えれば、優先して取り組む価値があります。

スケルトン物件と居抜き物件の費用比較

削減策の中心にある「居抜き」を、スケルトン物件と比べてもう少し具体的に見ておきましょう。両者の違いと、居抜きが得になる条件を整理します。

内装・原状回復コストでみた両者の違い

同じ坪数でも、物件のタイプによって初期費用は大きく変わります。両者を比べると次のようになります。

項目スケルトン物件居抜き物件
内装工事費坪10万〜30万円(ゼロから施工)大幅に圧縮、または不要
間仕切り・会議室新規造作が必要既存を活用できる
ネットワーク・配線新規構築残置設備を流用できる
入居までの期間工事期間が長い短期間で入居可能

居抜きは費用だけでなく、工事期間が短く済むため早く稼働できるという時間的なメリットもあります。

居抜きがトータルで得になるケース

居抜き物件は、残された内装が自社のレイアウト方針と合っている場合に特に効果を発揮します。たとえば会議室の数や執務スペースの配置が希望に近ければ、ほぼ手を加えずに入居でき、内装費をほとんどかけずに済みます。

一方で、残置物が自社の使い方に合わない場合は、結局作り直しになりコストが膨らむこともあります。スケルトンと居抜きで迷ったら、「残っている内装が自社のレイアウトにどれだけ使えるか」を基準に選ぶと失敗しません。少しでも活用できそうなら、まず居抜き物件を当たってみる価値があります。

知っておきたい費用の会計処理と支払いタイミング

最後に、見積もりの先にある会計処理と資金繰りの話をします。総額だけでなく「いつ・どう支払うか」を押さえておくと、予算化の精度が上がります。

移転費用の勘定科目(資産計上か経費か)

移転費用は、項目ごとに会計上の扱いが異なります。大まかには次のように分かれます。

  • 資産計上するもの:内装工事や設備工事のうち、一定額以上のものは「建物附属設備」などとして資産計上し、減価償却します。
  • 経費にできるもの:引越し費用や原状回復費、仲介手数料などは、その期の経費として処理できるのが一般的です。
  • 資産として残るもの:敷金は「差入保証金」として資産計上され、退去時に返還分が戻ります。

処理の判断は金額や内容によって変わるため、最終的には顧問税理士に確認するのが確実です。ただ、おおよその区分を知っておくだけでも、稟議資料での説明がしやすくなります。

初期キャッシュアウトの山と資金繰り計画

会計上は経費・資産に分かれても、現金は契約・着工のタイミングでまとまって出ていきます。特に敷金と内装工事費、原状回復費が重なる移転の前後は、キャッシュアウトのピークです。

たとえば50坪規模なら、契約時の敷金だけで数百万円、内装着工時にも数百万円が必要になります。退去側の旧オフィスの賃料と新オフィスの賃料が一時的に二重で発生する期間にも注意が必要です。資金繰り表に「いつ・いくら」を落とし込んでおけば、慌てて資金調達に走る事態を避けられます。居抜き活用で内装・原状回復費を抑えれば、このピーク自体を低くできる点も覚えておきましょう。

まとめ:内訳と坪単価を押さえてムダのない移転を

オフィス移転費用は、項目が多く全体像をつかみにくいものですが、坪単価と4分類という2つの軸で整理すれば、自社の総額は十分に見通せます。最後に要点を振り返ります。

  • 総額の目安は1坪あたり20〜40万円。「坪数×坪単価」でまず概算を出す。
  • 費用は退去・取得・内装・引越しの4分類で抜け漏れなく整理する。
  • 見落としやすい敷金と原状回復が初期キャッシュアウトの山を作る。
  • 居抜き活用・什器流用・相見積もりで内装・原状回復費を大きく圧縮できる。
  • 勘定科目と支払いタイミングを押さえ、資金繰り計画に落とし込む。

まずは本記事の簡易計算式と早見表で自社の概算を出し、その金額をもとに稟議・予算化を進めてみてください。そのうえで、削減効果の大きい内装・原状回復に手を打てば、総額は確実に下げられます。情報が整理できれば、移転は決して恐れる作業ではありません。落ち着いて一つずつ進めれば、ムダのない移転は十分に実現できます。次のステップとして、居抜き物件を含めた候補探しから具体的に動き出してみましょう。

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