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オフィス移転の流れを6ヶ月前から時系列で解説|やること一覧付き

「オフィス移転を任されたものの、何から手をつければいいのか分からない」。初めて移転を担当する総務の方なら、誰もが最初にぶつかる悩みです。しかもオフィス移転には、解約予告や原状回復、官公庁への届出など、期限を1日でも過ぎると数百万円単位の損失や罰則につながる落とし穴がいくつも潜んでいます。

ただ、過度に不安になる必要はありません。オフィス移転は半年から1年がかりのプロジェクトですが、新オフィスの稼働日から逆算して全体像をつかめば、専門業者に丸投げしなくても一人で抜け漏れなく進められます。この記事では、6ヶ月以上前の計画段階から移転後の手続きまでを時系列で並べ、各フェーズの「やること」と「期限」を一覧にしました。自社で判断するための材料として、最後まで読み進めてください。

オフィス移転にかかる期間と全体の流れ

まずは移転プロジェクト全体の見取り図を押さえましょう。どれくらいの期間が必要で、どんなフェーズに分かれるのかを最初に把握しておくと、この先の各作業が「いつ・なぜ必要なのか」がすっきり整理できます。

移転は半年〜1年がかりのプロジェクト

オフィス移転にかかる期間は、規模にもよりますが一般的に6ヶ月〜1年が目安です。物件探しだけでも1〜2ヶ月、内装工事に1〜2ヶ月、旧オフィスの原状回復にも別途1ヶ月前後かかります。これらは並行して進む部分もありますが、契約や工事の発注には相手の都合も絡むため、余裕を持ったスケジュールが欠かせません。

特に従業員50名を超える規模になると、レイアウト調整や什器の選定、社内調整に時間がかかり、1年近く見ておくと安心です。「思ったより時間がない」と慌てないために、稼働させたい日を起点に逆算することが最初の一歩になります。

稼働日から逆算する5つのフェーズ

移転プロジェクトは、新オフィスでの稼働日を基準に、大きく5つのフェーズに分けて考えると整理しやすくなります。

  1. 計画・構想と解約予告(6ヶ月以上前):目的の整理、予算策定、現オフィスの解約通知
  2. 物件選定と賃貸借契約(3〜6ヶ月前):新オフィス探し、内見、契約締結
  3. レイアウト設計と内装工事(2〜3ヶ月前):プランニング、工事区分の確認、業者発注
  4. 引越しと原状回復(1ヶ月前〜当日):引越し実施、旧オフィスの明け渡し
  5. 各種届出と手続き(移転前後):官公庁・取引先への住所変更

この5フェーズを意識するだけで、今自分がどの段階にいて、次に何をすべきかが見えてきます。

6ヶ月前→移転後の全体スケジュール早見表

各フェーズの主なタスクを時系列に並べると、次のようになります。デスクに貼っておけるチェック表として活用してください。

時期主なやること
6ヶ月以上前移転目的の整理/予算策定/解約予告の提出/原状回復の確認
3〜6ヶ月前物件選定/内見/賃貸借契約/レイアウトの方向性決定
2〜3ヶ月前レイアウト確定/工事区分の確認/内装・通信業者の発注
1ヶ月前〜当日引越し業者手配/社内告知/引越し実施/原状回復工事
移転後法務局・税務署・社会保険関係の届出/取引先への通知

【6ヶ月以上前】計画・構想と解約予告

最初のフェーズで最も重要なのが「解約予告」です。ここでの判断ミスが後々の二重賃料につながるため、目的の整理と並行して、現オフィスの契約条件を真っ先に確認しましょう。

移転の目的・条件・予算を固める

移転は手段であって目的ではありません。「人員増で手狭になった」「賃料を下げたい」「採用力のある立地に移りたい」など、解決したい課題を言語化することがスタートです。目的が曖昧なまま物件を探すと、判断軸がぶれて選定が長引きます。

その上で、必要な席数・会議室数・希望エリア・賃料上限といった条件を整理します。予算は賃料だけでなく、敷金(賃料の6〜12ヶ月分が一般的)、内装工事費、引越し費用、原状回復費まで含めて見積もるのがポイントです。総額で考えておくと、後から「予算が足りない」と慌てずに済みます。

解約予告はいつまでに出すか(多くは6ヶ月前・原則撤回不可)

オフィスの賃貸借契約では、解約予告期間が「6ヶ月前」と定められているケースが多くあります。これは住宅の「1ヶ月前」とは大きく異なる点です。退去日の6ヶ月以上前までに書面で通知しなければ、その分の賃料を余計に払い続けることになります。

まず現契約書を開き、解約予告期間と通知方法を確認してください。注意したいのは、いったん提出した解約通知は原則として撤回できないこと。新オフィスの契約が確定する前に解約予告を出してしまうと、移転先が決まらず宙ぶらりんになるリスクがあります。とはいえ予告が遅れれば二重賃料が発生するため、物件選定の見通しと解約タイミングを慎重にすり合わせる必要があります。

この時期のやることチェックリスト

  • 移転の目的・解決したい課題を文書化する
  • 必要な席数・エリア・賃料上限など条件を整理する
  • 現契約書で解約予告期間と原状回復義務を確認する
  • 解約予告のタイミングを社内で意思決定する
  • 敷金・工事費・引越し費・原状回復費を含めた予算を策定する

【3〜6ヶ月前】物件選定と賃貸借契約

このフェーズでは、条件に合う新オフィスを探して契約まで進めます。物件の良し悪しだけでなく、入居時にかかる内装コストまで見据えて選ぶと、総額を大きく抑えられます。

新オフィスの物件を探す・絞り込む

物件探しは、不動産仲介会社への相談やオフィス物件検索サイトの活用が中心になります。立地・賃料・面積・築年数といった基本条件に加え、ビルのグレード、エレベーターの数、空調の方式、通信回線の引き込み状況なども確認しておきましょう。

条件をすべて満たす物件は多くありません。「これだけは譲れない」という軸を2〜3個に絞っておくと、比較がスムーズになり、迷ったときも判断しやすくなります。

内見から申し込み・契約までの進め方

気になる物件は必ず内見します。図面だけでは分からない天井高、柱の位置、コンセントの数、日当たりなどは、実際に立ってみて初めて分かるものです。可能であれば、レイアウトを依頼する業者に同行してもらうと、什器が収まるかをその場で判断できます。

入居の意思が固まったら申込書を提出し、貸主の入居審査を経て賃貸借契約を締結します。契約時には敷金・礼金・仲介手数料・前家賃などまとまった初期費用が必要です。契約書では、賃料以外の費用、更新条件、そして退去時の原状回復の範囲を必ず読み込んでおきましょう。

居抜き物件なら内装・原状回復コストを抑えられる

新オフィスの初期費用で大きな割合を占めるのが内装工事費です。何もない状態(スケルトン)から内装を造作すると、規模によっては数百万円規模になることもあります。ここで選択肢として検討したいのが「居抜き物件」です。

居抜き物件は、前の入居企業が使っていた内装や什器がそのまま残された状態で借りられるオフィスです。会議室の間仕切りや受付、配線などを流用できれば、内装工事費を大幅に圧縮でき、工事期間も短縮できます。東京で居抜きオフィスを探すなら、内装や原状回復のコストを抑えられる物件を専門に扱う検索サイトを使うと、条件に合う候補を効率よく見つけられます。このメリットは後半で改めて掘り下げます。

【2〜3ヶ月前】レイアウト設計と内装工事

契約が済んだら、いよいよ新オフィスを形にしていく段階です。ここで鍵になるのが「工事区分」の理解。誰がどの工事費を負担するかを知っておくだけで、コストの抑えどころが見えてきます。

オフィスプランニングとレイアウト決定

レイアウトは、働き方そのものを左右する重要な工程です。部署ごとの席配置、会議室や集中ブースの数、リフレッシュスペースの有無などを、現場の声を聞きながら決めていきます。コミュニケーションを活性化したいのか、集中環境を重視したいのかで、最適な配置は変わります。

消防法上、避難経路の確保や一定面積ごとの設備基準が定められています。レイアウトは法令と密接に関わるため、専門業者と相談しながら進めると安心です。

A工事・B工事・C工事の区分と費用の抑え方

オフィスの工事は、費用負担と業者の指定によって3つに区分されます。この区分を理解しておくと、想定外の出費を避けられます。

区分費用負担業者選定主な工事内容
A工事貸主貸主建物の躯体・共用部・外装など
B工事借主貸主指定空調・防災・電気など建物に関わる部分
C工事借主借主内装・什器・LAN配線など

注意したいのはB工事です。費用は借主負担なのに業者を貸主が指定するため、相見積もりが取りにくく割高になりがちです。契約前にB工事の範囲を確認し、可能なら貸主と交渉して工事区分を調整しておくと、コストを抑えられます。

内装・通信インフラ業者の選定と発注

内装工事と並行して進めたいのが、電話・インターネットなど通信インフラの手配です。特に光回線の新規開通は、申し込みから工事完了まで1ヶ月以上かかることもあります。稼働初日に「ネットがつながらない」という事態を避けるため、早めの申し込みが鉄則です。

内装・通信ともに、複数社から相見積もりを取って比較しましょう。価格だけでなく、納期や移転実績、トラブル時の対応力も判断材料に加えると、発注後の安心感が違ってきます。

【1ヶ月前〜当日】引越しと旧オフィスの原状回復

いよいよ移転の山場です。引越しと旧オフィスの明け渡しは、日程が密接に絡み合います。「明け渡し日に間に合わない」という最悪の事態を避けるため、逆算したスケジュール管理がここでも効いてきます。

引越し業者の選定とスケジュール調整

引越し業者は、オフィス移転の実績が豊富な会社を選びましょう。什器や機密書類、サーバーなどの取り扱いは、家庭の引越しとは勝手が違います。見積もりは荷物量や階数、養生の範囲で変わるため、現地調査をしてもらった上で複数社を比較するのが確実です。

引越し日は、業務への影響を最小限にするため週末や連休に設定するのが一般的です。社内には早めに告知し、各自の私物整理や荷造りのルールを周知しておくと、当日が驚くほどスムーズに進みます。

原状回復の範囲・費用・工事期間

原状回復とは、退去時にオフィスを借りた当初の状態に戻す工事のことです。オフィスの場合、入居時のスケルトン状態まで戻す契約が多く、住宅の原状回復より範囲が広く費用も高額になりがちです。坪単価で数万円かかるケースもあり、規模によっては大きな負担になります。

原状回復には工事期間も必要です。明け渡し日から逆算して着工日を決めないと、退去日に間に合いません。契約書で原状回復の範囲を確認し、指定業者がいる場合は早めに見積もりを依頼しておきましょう。

明け渡し日=鍵返却日という考え方

見落としやすいのが「明け渡し日」の定義です。明け渡しとは、原状回復を完了させ、鍵を返却して初めて成立します。引越しで荷物を運び出しただけでは明け渡したことになりません。

つまり、賃貸借契約上の退去日までに原状回復工事をすべて終え、鍵を返す必要があるということです。ここを「荷物を出せば終わり」と勘違いすると、工事が退去日をまたいでしまい、余計な賃料を請求されかねません。引越し→原状回復→鍵返却という順序を、スケジュールに明確に組み込んでおきましょう。

移転前後に必要な官公庁の届出と手続き

物理的な移転が終わっても、プロジェクトは完了ではありません。住所変更に伴う各種届出には、それぞれ提出先と期限が定められています。期限を過ぎると過料の対象になるものもあるため、一覧で管理するのが安全です。

法務局・税務署への届出と期限

本店を移転する場合、まず法務局で本店移転登記が必要です。移転日から2週間以内に申請する義務があり、遅れると過料が科されることがあります。同一管轄内か管轄外かで手続きや登録免許税が変わるため、早めの準備が肝心です。

登記が済んだら、税務署へ「異動届出書」を提出します。都道府県税事務所や市区町村にも同様の届出が必要です。提出期限は届出先によって異なるので、移転後すぐに着手しましょう。

年金事務所・労基署・ハローワークへの届出

従業員の社会保険・労働保険に関わる届出も忘れてはいけません。日本年金機構(年金事務所)には、適用事業所の所在地変更届を、原則として変更から5日以内に提出します。期限が短いので注意が必要です。

労働基準監督署とハローワーク(公共職業安定所)にも、労働保険・雇用保険の所在地変更に関する届出が必要です。これらは管轄が変わる場合に手続きが発生します。従業員の手続きに漏れがあると給付などに影響するため、確実に対応しましょう。

消防署・郵便・取引先への住所変更

新オフィスの規模や用途によっては、消防署へ「防火対象物使用開始届」などの提出が必要です。内装工事の内容によっても届出義務が変わるため、工事業者に確認しておくと安心です。

あわせて、郵便局への転居届、銀行口座やクレジットカードの住所変更、名刺・封筒・ウェブサイトの住所更新、そして取引先への移転案内も進めます。取引先への通知は、移転の1ヶ月前を目安に行うと、請求書や郵便物のトラブルを防げます。

オフィス移転でよくある失敗と回避策

ここまで流れを見てきましたが、実際の現場では同じような失敗が繰り返されています。代表的な3つの失敗と、その回避策を押さえておけば、抜け漏れの不安はぐっと小さくなります。

解約予告の遅れによる二重賃料

最も多く、そして金額的に痛いのが解約予告の遅れです。予告期間が6ヶ月の契約で通知が1ヶ月遅れれば、その分まるごと旧オフィスの賃料を払い続けることになります。回避策はシンプルで、プロジェクト開始と同時に現契約書を確認し、解約予告のデッドラインをカレンダーに登録しておくこと。これだけで防げる失敗です。

原状回復の遅延で明け渡しに間に合わない

原状回復工事の着工が遅れ、退去日までに鍵を返せないケースも少なくありません。前述のとおり、明け渡しは原状回復の完了が前提です。引越し日と退去日の間に、原状回復工事の期間を必ず確保してください。指定業者がいる場合は見積もりや日程調整に時間がかかるため、移転先が決まった段階で並行して動き出すのが安全です。

届出の期限漏れと社内周知の不足

官公庁への届出は提出先が多く、期限もバラバラなため、漏れが起きやすいポイントです。提出先・期限・担当者を一覧にしたチェックリストを作り、完了したらチェックを入れる運用にすると抜けを防げます。あわせて、移転先の住所や引越し日、当日のルールを社内に十分周知することも大切です。情報共有が不足すると、当日の混乱や私物の紛失につながります。

居抜き移転でコストと期間を圧縮する

ここまで読んで、「やることが多くて費用もかさみそう」と感じた方も多いでしょう。その負担を軽くする有力な選択肢が、物件選定の章でも触れた「居抜き」の活用です。コストと期間の両面で効いてきます。

居抜き入居・居抜き退去という選択肢

居抜きには「居抜き入居」と「居抜き退去」の2つの側面があります。居抜き入居は、前の企業の内装や什器を引き継いで使うことで、内装工事費と工事期間を抑える方法です。会議室やOAフロア、配線が整っていれば、ゼロから造作する場合と比べて初期費用を大きく圧縮できます。

一方の居抜き退去は、自社が退去する際に内装を残したまま次の入居者へ引き継ぐ方法です。これがうまくいけば、本来必要だった原状回復費用を削減できる可能性があります。入居と退去の両面で居抜きを活用できれば、移転コストの構造そのものが変わってきます。東京で居抜き物件を探す際は、こうした居抜き入居・退去に対応した物件検索サイトを起点にすると、選択肢を効率よく比較できます。

移転を働き方とコスト最適化の好機にする

オフィス移転は、単なる引っ越し作業ではありません。これまでの働き方を見直し、コスト構造を最適化する絶好の機会です。フリーアドレスの導入、会議室の最適化、ペーパーレス化などを、レイアウト設計のタイミングで一緒に検討する企業が増えています。

居抜きを活用して浮いた予算を、働きやすい環境づくりや必要な設備投資に回す。そんな前向きな移転にできれば、担当者としての達成感も大きくなります。移転を「やらされる作業」ではなく「会社を良くするプロジェクト」と捉え直してみてください。

まとめ|逆算スケジュールで移転を成功させる

オフィス移転は半年から1年がかりの大きなプロジェクトですが、稼働日からの逆算で全体像をつかめば、初めての担当者でも一人で着実に進められます。最後に、押さえておくべきポイントを整理します。

  • 移転は稼働日から逆算した5フェーズで考えると整理しやすい
  • 解約予告(多くは6ヶ月前・原則撤回不可)はプロジェクト開始直後に確認する
  • 明け渡しは原状回復の完了と鍵返却で成立する。退去日から逆算して工事日程を組む
  • 官公庁の届出は提出先・期限を一覧化し、漏れを防ぐ
  • 居抜きの活用で内装・原状回復コストと工事期間を圧縮できる

まず今日できることは、現オフィスの契約書を開いて解約予告期間を確認し、移転の目的を一行で書き出すことです。そこからカレンダーに逆算でタスクを並べていけば、漠然とした不安は具体的なToDoに変わります。一つずつ着実に進めれば、移転は必ず成功します。あなたの会社にとって、より良い環境への第一歩を踏み出してください。

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