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居抜きオフィスの探し方|情報源・内見チェックリスト・スケジュールを解説

居抜きオフィスに移転したいと思っても、いざ探し始めると「どのサイトを見ればいいのか」から迷ってしまう方は少なくありません。一般の賃貸オフィス検索サイトを眺めても居抜き物件はほとんど出てこず、時間だけが過ぎていく。ようやく内見にこぎつけても、何を見ればいいのか分からず担当者の説明にうなずくだけ——そんな状態で契約すると、造作譲渡料や原状回復費用で想定外の負担を抱えることもあります。この記事では、情報源の使い分け・内見チェックリスト・契約までのスケジュールという3点に絞って、居抜きオフィスの探し方を実務の順番どおりに整理します。

居抜きオフィスは何で探す?主な情報源3種

居抜き物件は一般の賃貸オフィスと違い、情報が一箇所に集まっていません。まずは情報源を3種類に分けて、それぞれの得意・不得意を押さえるところから始めます。

居抜き専門ポータルサイト

もっとも効率がよいのが、居抜き・セットアップオフィスに特化したポータルサイトです。掲載時点で内装や什器が残っている前提なので、検索した物件がそのまま候補になります。会議室の数、既存の間仕切り、残置される什器の内容といった居抜き特有の情報が写真付きで載っていることが多く、「この内装のまま使えるか」を早い段階で判断できます。

専門ポータルを使う最大のメリットは、内装工事費と原状回復費を同時に圧縮できる物件だけを比較検討できる点です。一般的なオフィスの内装工事は坪あたり数十万円規模になることも珍しくありませんが、居抜きであればその大半を引き継げます。まずは専門ポータルで相場観をつかみ、そのうえで他の情報源に広げるのが遠回りに見えて近道です。

一般の賃貸オフィスサイト

掲載数の多い一般の賃貸オフィスサイトも、条件検索の使い方次第で使えます。「居抜き」「内装付き」「什器付き」といったフリーワードで絞り込むと、専門ポータルに載っていない物件が出てくることがあります。

ただし注意したいのが、掲載情報の粒度です。一般サイトでは居抜きであることが備考欄に一行書かれているだけで、造作の範囲や譲渡条件まではほぼ分かりません。候補として拾い、詳細は問い合わせで確認する——という使い方に割り切るのが現実的です。

仲介会社への直接相談・非公開物件

居抜き物件は、退去する企業の事情が絡むため公開されないケースが多くあります。移転計画が社内で固まる前に情報が漏れるのを避けたい、取引先に知られたくない、といった理由です。こうした非公開物件は、仲介会社に直接条件を伝えておかないと出会えません。

相談する際は、エリア・坪数・予算・入居希望時期の4点だけでも先に伝えておきましょう。「良い物件があれば」という曖昧な依頼だと後回しにされがちですが、条件が具体的なら退去情報が入った時点で声がかかります。オフィス移転の担当が初めてでも問題ありません。仲介会社は条件整理から手伝ってくれるのが通常で、多くの企業がその段階から相談しています。

物件探しから契約までの6ステップ

居抜きオフィス探しは、条件整理から契約まで大きく6つのステップに分かれます。通常の賃貸オフィスと違うのは、ステップ5の造作譲渡と原状回復の確認が入る点です。物件探しの前後を含めた居抜きオフィスへの移転プロセス全体の流れも押さえておくと、社内スケジュールが立てやすくなります。

ステップ1:条件整理(エリア・坪数・予算・入居時期)

最初に決めるのは、エリア・必要坪数・月額予算・入居希望時期の4点です。坪数は「従業員1人あたり2〜3坪」を目安に、会議室や採用計画を加味して算出します。ここで幅を持たせすぎると候補が絞れず、狭すぎると物件が出てきません。エリアは第一希望と許容範囲を分けて設定しておくと、仲介会社との会話がスムーズになります。

ステップ2:情報源から候補物件を集める

専門ポータルで相場をつかみつつ、一般サイトと仲介会社の3方向から候補を集めます。この段階では絞り込みすぎず、10件前後をリストアップするイメージです。居抜き物件は流通スピードが速いため、気になった物件はその日のうちに問い合わせるくらいの感覚で構いません。

ステップ3:仲介会社へ問い合わせ・図面確認

問い合わせ時に必ず取り寄せたいのが、平面図と設備図です。図面があれば、現状の間仕切りで自社のレイアウトが成立するか、机の配置が現実的かを内見前に検証できます。あわせて「造作は無償譲渡か有償譲渡か」「什器はどこまで残るか」も、この時点で口頭確認しておきます。

ステップ4:内見で現況をチェックする

図面で残った候補を実際に見に行きます。居抜きの内見は、通常の空室と違って「残された内装が自社に合うか」という視点が加わるため、確認項目が増えます。詳しいチェック項目は次章にまとめました。可能であれば内装業者や工事会社に同行してもらうと、流用できる設備と交換が必要な設備の判断が一度で済みます。

ステップ5:造作譲渡契約・原状回復特約を確認する

居抜きオフィス特有の、もっとも重要なステップです。確認すべきは主に次の3点です。

  • 造作譲渡料の金額と、譲渡対象に含まれる設備・什器の範囲
  • 退去時の原状回復義務が「入居時の居抜き状態まで」か「スケルトンまで」か
  • 引き継ぐ設備(空調・照明・OAフロアなど)の不具合が生じた際の修繕負担

特に見落とされやすいのが2つ目です。居抜きで安く入居できても、退去時にスケルトン返しを求められる特約が入っていれば、その分の費用を将来負担することになります。契約書の文言は必ず自分の目で確認してください。判断に迷う場合は、原状回復義務の範囲を民法の観点から解説した記事を読んでおくと、貸主側の主張が妥当かどうかを判断しやすくなります。

ステップ6:契約

条件が固まったら申込書を提出し、審査を経て賃貸借契約と造作譲渡契約を締結します。この2つは別契約になるのが一般的で、譲渡側(前入居者)との合意が必要な点が通常の賃貸と異なります。契約日と入居可能日、前入居者の退去日の関係も、この段階で確定させておきましょう。

内見で見るべきチェックポイント

居抜きオフィスの内見は、限られた時間で確認すべきことが多く、手ぶらで行くと必ず見落とします。以下を印刷して持参するくらいの準備で臨むと安心です。

共用部・立地でチェックすべき項目

  • 最寄り駅からの実際の徒歩時間(表記より遅くなることが多い)
  • エレベーターの基数と、朝の混雑時の待ち時間
  • エントランスや廊下、トイレの清掃状態
  • ビルの入退館時間と、休日・深夜利用の可否
  • 搬入経路の幅と、荷物用エレベーターの有無
  • 周辺の飲食店・コンビニ、来客時に案内しやすい立地かどうか

専有部・設備でチェックすべき項目

  • 空調の吹出口の位置と数、個別空調か中央空調か
  • 電気容量が現在の使用量とPC台数に足りるか
  • OAフロアの有無と配線ルート、床の高さ
  • LAN配線・電話回線の状態と、インターネット回線の引き込み可否
  • 会議室の数・広さと、自社の使い方に合うか
  • 残る什器(デスク・チェア・収納)の状態と数量
  • 天井高、柱の位置、窓の向きと日当たり
  • 給湯室・専用トイレの有無と使い勝手

特に電気容量と空調は、後から変更しようとすると大掛かりな工事になります。居抜きのコストメリットが消えかねないため、内見の場で必ず数値を確認してください。

入居企業の質・ビルの管理状態

見落とされがちですが、同じビルにどんな企業が入っているかは働きやすさに直結します。館内案内板で入居企業を確認し、業種に偏りや不安がないかを見ておきましょう。あわせて、共用部の照明切れが放置されていないか、掲示物が古いままでないかもチェックポイントです。管理が行き届いていないビルは、入居後の対応スピードも期待しにくくなります。

いつから動く?6ヶ月前からのスケジュール目安

「いつから探し始めればいいか分からない」という不安は、逆算表があれば解消できます。現オフィスの解約予告が6ヶ月前という契約が多いため、そこを起点に考えるのが基本です。

時期やること
移転8〜6ヶ月前移転目的・予算・必要坪数の整理、現契約の解約予告期間の確認
移転6〜5ヶ月前情報収集開始、仲介会社へ相談、候補物件のリストアップ
移転5〜4ヶ月前内見(1日2〜3件を数回)、造作譲渡条件の確認、社内稟議
移転4〜3ヶ月前申込・審査・契約締結、現オフィスの解約通知
移転3〜2ヶ月前レイアウト確定、必要な追加工事の発注、引越業者の手配
移転1ヶ月前〜当日各種住所変更手続き、通信回線の切替、引越実施

居抜き物件は内装工事期間が短くて済むため、スケルトン物件より1〜2ヶ月ほど短いスケジュールでも成立します。ただし、良い物件ほど早く決まるので、6ヶ月前から情報収集だけでも始めておくと選択肢が広がります。

居抜きオフィス探しでよくある失敗と注意点

探し方そのものは難しくありませんが、居抜き特有の落とし穴がいくつかあります。事前に知っておけば、ほとんどは避けられます。

  • 造作譲渡料を賃料と別に見積もっていない:初期費用の総額で比較しないと、賃料が安く見えても総支出は高くなることがあります。
  • 退去時の原状回復条件を確認していない:入居時の状態に戻せばよいのか、スケルトンまで求められるのかで、将来の費用が大きく変わります。
  • 前入居者のレイアウトに自社を合わせてしまう:会議室が多すぎる、席数が足りないなど、業種が違えば最適なレイアウトも違います。
  • 設備の劣化を見落とす:空調や照明が耐用年数を超えていると、入居後すぐに交換費用が発生します。
  • 検討に時間をかけすぎる:居抜き物件は流通期間が短く、社内稟議を回している間に他社に決まることがあります。決裁ルートは物件探しと並行して整えておきましょう。

リスクを事前に把握しておきたい方は、居抜きオフィスのデメリット・リスクを整理した記事もあわせて確認してください。注意点を知ったうえで選べば、居抜きはコスト面で有力な選択肢であり続けます。

セットアップオフィスとの違い・使い分け

物件を探していると「セットアップオフィス」という表記にも出会います。どちらも内装付きですが、性質が異なるため使い分けが必要です。

居抜きオフィスは、前入居者が使っていた内装をそのまま引き継ぐ物件です。造作譲渡料が発生することがある一方、什器まで残るケースもあり、初期費用の圧縮効果は大きくなります。ただしレイアウトは前入居者の業務に最適化されているため、自社に合うかどうかは物件次第です。

対してセットアップオフィスは、貸主側があらかじめ会議室や執務スペースを整備して貸し出す物件です。内装が汎用的に設計されており、造作譲渡料が不要なケースも多く、入居後すぐ働ける状態が整っています。

使い分けの基準はシンプルです。初期費用を最優先で抑えたいなら居抜き、レイアウトの当たり外れを避けて確実性を取りたいならセットアップです。両方を候補に入れて探すのが現実的で、詳しくはセットアップオフィスの特徴と居抜きとの違いを参照してください。

よくある質問

この記事に関してよく寄せられる質問をまとめました。

居抜きオフィスはどのくらいコストを削減できますか?

削減できるのは主に内装工事費と什器購入費です。スケルトン物件では坪あたり数十万円規模の内装工事が必要になりますが、居抜きなら間仕切りや会議室、電気・LAN配線をそのまま使えるため、その多くを圧縮できます。ただし造作譲渡料が発生する場合はその分を差し引いて計算してください。比較する際は賃料だけでなく、初期費用と退去時費用まで含めた総額で判断するのが確実です。

居抜き物件は一般の賃貸オフィスサイトでも見つかりますか?

見つかることはありますが、備考欄に一行記載されている程度で、造作の範囲までは分かりません。効率を考えるなら、居抜き専門ポータルで相場と候補をつかみ、一般サイトは補完として使い、非公開物件は仲介会社経由で拾うという3方向の組み合わせが有効です。

内見には誰が同行するとよいですか?

移転担当者に加えて、可能であれば内装業者や工事会社に同行してもらうことをおすすめします。空調の能力、電気容量、OAフロア下の配線状況など、専門的な判断が必要な項目をその場で確認できるためです。1回の内見で判断材料が揃うので、結果的に検討期間の短縮につながります。

造作譲渡料は必ず発生しますか?

必ずではありません。前入居者が原状回復費用を避けたい事情がある場合、無償譲渡になるケースもあります。逆に、什器や設備の価値が高ければ有償になります。金額は交渉の余地があるため、譲渡対象の一覧と状態を確認したうえで、必要のない什器は対象から外せないか相談してみてください。

物件探しはどのくらい期間がかかりますか?

条件整理から契約まで、おおむね2〜3ヶ月が目安です。ただし居抜き物件は流通期間が短いため、良い物件に出会ったときに即断できるよう、社内の決裁ルートは探し始めの段階で整えておくことをおすすめします。

まとめ

居抜きオフィス探しは、情報源の使い分け・内見での確認・契約条件のチェックという3点を押さえれば、初めての担当者でも進められます。通常の賃貸オフィス探しに、造作譲渡と原状回復の確認が加わるだけと考えてください。

  • 情報源は「居抜き専門ポータル」「一般サイト」「仲介会社の非公開物件」の3方向で集める
  • 条件整理から契約まで6ステップ。ステップ5の造作譲渡・原状回復特約の確認が最重要
  • 内見は共用部・専有部設備・ビルの管理状態をチェックリストで確認する
  • 解約予告期間から逆算し、移転の6ヶ月前には情報収集を始める
  • 初期費用を最優先するなら居抜き、確実性を取るならセットアップオフィス

次のアクションとして、まずはエリア・坪数・予算・入居時期の4点を紙に書き出してみてください。この4つが決まれば、専門ポータルでの検索も仲介会社への相談も一気に具体的になります。情報の非対称性が大きい領域ですが、確認すべき項目さえ分かっていれば、居抜きオフィスは内装費と原状回復コストを同時に抑えられる合理的な選択肢です。

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